1970年代のフランス軍レーション
TYPE ‘‘T”
この時代には、まだ箱にビニールでの梱包はされておらず、紙袋で箱を梱包していた、紙袋は中がアルミ紙で防水加工？が施されていて、
カナダ軍のIMPのパックのようになっていました。
パッケージの表面にはスタンプでメニュー番号が押されていました(これはメニュー8)
全部で20種類もある見たいです。
1976年製 フランス軍 レーション MENU8
内容物
BOEUF EN SAUCE(ビーフ&ソース)×1缶
Galantina(ガランティーナ)×1缶
デザート缶×1
インスタントコーヒー×2
角砂糖×3
脱脂粉乳×1
ミントスープ×1
ビーフコンソメスープ×1
アップルジャム×3
飴×1
チョコレートキャラメル×1(3個いり)
チョコレートバー×1
なんかの錠剤×1
お酒×1瓶
タバコ×1箱(20本入り)
マッチ×1
浄水剤×1(8錠)
缶きり(P-38)×1
脱酸素剤×1
紙ナフキン
メニューの説明書
メインミール缶詰が2缶も入っていた、メニュー8の缶詰はコンビーフ＆ソースとソーセージ缶だった。
32年経っても破裂していなかった。まだプルトップ方式の開け方ではなく、付属しているP-38缶きりで開けるようだ。
Morey(モレ)とはフランスのブルゴーニュ地方にある1つのコミューンである
コミューンとは、フランスにおける基礎自治体、すなわち地方自治体の最小単位である。
日本の市町村にあたるが、フランスには日本のような行政上の市、町、村の区別ははない。
地図上に「都市」も「村」も存在しない。人口80万人のマルセイユも、200人程度のカマンベールもコミューンである。
フランスの県や地域圏とは異なりコミューンの歴史は古く、起源は中世に以前にさかのぼり、ローマ時代に成立したものもある。
日本の市町村と比べるとコミューンの規模は小さく、平均人口は約1500人で、約9割が人口2000人未満である。
話が長くなったが、BOEUF EN SAUCE(ビーフ&ソース)と書いてあるので
ブルゴーニュ料理の牛肉の赤ワインソース煮込みの缶詰かも？
右の缶詰は Galantina（ガランティーナ）の缶詰です、
ガランティーナとは骨の抜いたニワトリの肉、簡単に言えば鶏挽肉とハーブを混ぜて詰め物にした後に、
茹でてそのあとで冷却して、スライスして食べる冷製オードブル(ハム)のような料理です。
フランスやイタリアでも食べられているようです。
デザートはフロマージュ缶でした、袋に染みや変な臭いがしたのはこの缶が原因だった…
液漏れが起こった所が瘡蓋の様に固まり、そこまで酷くなっていませんでした…
右上の写真でも分かるように、現在もこのフロマージュ缶は採用され続けています、右の缶詰が2007年製の缶詰です。
2007年製のこの缶詰も2040年頃になれば左の写真のようになってしまう。
ミントスープ、このスープはおそらくジャガイモのポタージュスープ？だと思います、流石に32年前のスープを作ってみる勇気はありませんｗ
これはbouillon(ブイオン)です。
ブイヨンは基本的には料理のベースとなるだし汁である、他にはフォンという出汁もある、(有名なのはフォン・ド・ヴォー
ちなみにフォンは仏語でベース(元)の意であり、ブイヨンはブイイ（bouillir 沸かす）から派生したものである。
MARC-PARIS(下の方にはマルク パリスと書いてある)フランスのパリでこの粉末ブイオンは作られたのだろうか？
ピンク色の紙が説明書、こげ茶色のパッケージがインスタントコーヒー、ARGELACとかいてあるのが脱酸素剤の様だ、
この時代のレーションには角砂糖が入っていた、この時代ははパックに入った粉砂糖はまだ採用されていないようだ
脱脂粉乳が入っていた、左の写真の脱脂粉乳はLA LAITTERIE DE CRAON といいLESAFFRE NORMANDIE社製の1976年物です。
右の写真の緑色のパッケージの物もLESAFFRE NORMANDIE社製の脱脂粉乳でLAIT ECREME EN POUDREといい2007年に作られた物です。
30年の間にサイズやパッケージの印刷が変わっていますが、両者ともデザインがお洒落です。
フランスのレーションに30年以上も採用され続けているとは驚きです。
パッキングされた袋の中にキャンディーが入っていた、丁寧に包み紙で飴が包まれているが無残にも解けていた…
この現象は現在もフランスのレーションで問題になっている。
右の写真の様に、現在使用されているレーションに入っている飴は包み紙に包まれていますが、ビニールで飴をパッキングされてなく箱に直接入っているので
溶けてしまった場合、飴の溶けた物が他の缶詰や菓子についてしまい、カビて かもされてしまいます…32年前の梱包の方がマシ…
右の写真の物は2007年に製造されてまだ1年と経ってないRCIRです…箱の外側まで染みてました…OTZ
POM fruit と書かれているジャムが3個も入っていた、林檎ジャムのようです。
話を元に戻すが実はこのレーションにはクラッカーやパン類が入っていない…何に使うのだろうか…
boisson INSTANTANEE STé Antésite-VOIRON とかかれている物を発見、最初はガムだと思っていたが、触ってみると…何かカプセルか錠剤？
かと思い、開けて見ると、なんかの錠剤が入っていた、このカプセルはAntesite といいます、
カプセルの中には甘草味の粉末が入っています。これは浄水剤を使った時に少しでも、カルキ臭を誤魔化すために入れるようです、
1つの錠剤を、1Lの水に落として使います。
独特の香気があるため（薬臭いあるいは漢方臭い香り）甘味料としては使い方に注意する必要があるが、欧米では日本よりも多用され、リコリス菓子やルートビアと呼ばれるソフトドリンクの原料として利用されている。グリチルリチンの甘味は砂糖の50倍もあり低カロリーなため、欧米では甘草は健康的な食品添加物と認識されているが、大量摂取により副作用を生じるため、注意が必要のようだ。
この錠剤をレーションにも入っているフランデーに入れて飲むこともあるようだ、
フランスのお酒(パスティス)のように香草で風味をつけ、飲むこともできる。
このカプセルには赤色の他にも、緑色や黄色いビニールで梱包されているカプセルもある。
味もそれぞれ違う。
浄水剤が8錠も入っていた、
マッチが入っていた、現在のフランス軍レーションに入っているマッチは主に固形燃料に点火するために使われるが、
この時代のマッチ用途はタバコに日をつけるぐらいだった。セイタ社製のマッチで、厚紙には盾のロゴと
SEITA (Societe Nationale d'Exploitation Industrielle des Tabacs et Allumettes)と書かれている。
1999年にコンソリデイティッド・シガー社(Consolidated Cigar Company)とSEITA社が合併し、
さらにその二年後にスペインのタバカレラ社(Tabacalera)が合併してアルタディス社(Altadis S.A.)が設立されて、SEITA社はなくなってしまった、
MREのマッチのように紙製のマッチ棒では無く、丈夫な木製で作られている
マッチ紙の裏には、30 all made in France．Vente en France．と書かれている
SEITA社はかつてフランス煙草産業界ナンバー1シェアを誇っていた、
有名なゴロワーズ(Gauloises)、ルパン三世が吸っているジタン（Gitanes）などを1999年までフランスで作っていた。
レーションの中にゴロワーズ(Gauloises)が入っていた。タバコ葉を堆肥発酵させた黒タバコです、自分はタバコを吸ったことがないので分かりませんが
味に癖があるらしく、日本人好みの味ではないらしい、CAPORALと言うのはフランス語で伍長という意味です、
やっぱり煙草産業界にとっては徴兵制の兵隊さんはお得意様だったようだ。20 CIGARETTESと書いてあるのでおそらく20本入っています。
表には羽が生えた兜のロゴが印刷されている、封にはEXPORTATION MADE IN FRANCEと書かれている。
裏側はARMéEと書いてあるので軍用と分かる、FRANCAISE RéGIEと書いてある、
フランスの国鳥がニワトリなので、真ん中にはニワトリのロゴが入っている。
キャラメルが4個入っている。右の写真の物はチョコレートバーです、
KEMMEL社製のチョコレートバーです、ベルギー境界の近くの北フランスでこのチョコレートは作られています。チコリーエキスが入っているようだ。
お酒が入っていました、瓶のボトルにはEAU DE VIE書いてありました。
eau de vie オードビーとは
フランス語で(命の水)。
一般的にはワインやグラッパお酒の事を指します。
人生で無くてはならない物という意味です。
2.5cℓ※ブランデーが入っている
※ヨーロッパでは100分の1リットルであるセンチリットル(cL)が、飲料の容量などによく使われる。
このお酒は食前酒 (仏：アペリティフ（Apéritif）として飲むようだ。
余談ですが、昔のレーションには固形燃料が入っておらず、アルコール度数が高いこれらのお酒が
火を点けた時のスターター代わりになるらしい。
こうやって昔のフランス軍レーションと現在のレーションを比べてみるのも面白いし、フランス語の単語等がすこし覚えられるので面白いです。